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2021-05-23

DI CLASSE の思い

ディクラッセさんのショールームは、照明がたくさんあるのに、明るくないんですね。。。
東京入谷のショールームに来てくれたお客さまは、かなりの確率でそう言われます。

私はこの言葉を聞くと、がっかりするのではなく、思わずニヤッとします。ディクラッセのスタッフも皆ニヤッとするんです。

日本では、多くの照明メーカーさんが、ビルトインの照明器具をつくっています。「もっと明るい方がいいな、、」という日本人の求めるニーズにこたえるものとして、それは最適な答えなんでしょうね。
「より明るく、より白く」というコンセプトで、天井直付けのスポットライトが生み出され、それは市場の8~9割を占めています。当然、そこに働く競争原理は、「さらに明るく、さらに白く」というものになります。

インテリアショップでは、多くのお客さまが「いちばん明るい照明」を求めている現実もあります。その結果、あるメーカーさんが60ワットのLEDを作ったら、他のメーカーさんは100ワットのLEDを作る、「明るさ」というものさしでコンセプトを決め、照明を開発しているのではないでしょうか。

ディクラッセは、こういった明るさや白さを追求する照明開発の「ものさし」から、はずれています。

私たちは、暗く、オレンジ色の光、自然の光を部屋に取り入れてみたい、という目線で、家の中でともる「あかり」を作っています。これは、先の照明メーカーさんのコンセプトとは真逆の考え方になります。

アウロ ウッド ペンダントランプ フロアランプ

30数年前、イタリアに行った時のことです。家の照明はみんなやさしいオレンジ色。どこをとってもセンスが良く、心からリラックスできました。

でも、東京に帰ってくると、下降していく飛行機から眼下に広がった東京の街は青白く浮かびあがり、空港から自宅に向かう車窓に広がるマンション群、その連なる窓をいろどる色も青白く、そんな眩しい東京の夜の光を浴びて、頭が痛くなってしまいました。

当時、照明器具デザインするって事の原点はなんなんだろう?、と自問自答しながら、「照明とは?」「光とは何か?」「照明は人間に何をもたらすのか?」を考えつづけていた私にとっては、頭の中にあらたな引き出しができたような気がしました。その結論として、ディクラッセのデザインテーマ「自然をモチーフにする」というコンセプトにたどりつきました。

このコラムを通して、私たち人間にとって大切なものは何か、を多くの皆さまに共感していただけると嬉しいです。

デザイナー 遠藤道明


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