暮らしをより快適にするための電球えらび
照明が欲しいな、買いたいなと思った時に、まず、ECサイトや、メーカーのカタログをご覧になると思います。そのときに、まず着目するポイントはどこでしょうか?カタログに書いてある「明るさ・ワット数」や、デザインで選ぶ…。という感じではないでしょうか。
明るさ・ワット数、そしてデザインは、照明にとって大切な要素です。そして、お気に入りのデザインや、落ち着く明るさの照明を選べば、自宅にリラックスできる空間を作りだすことができます。
ディクラッセではさらにもう1点、照明を選ぶときに着目していただきたい、と考えるポイントがあります。
それは、電球です。
照明につける電球は、どれでも同じではありません。電球によって、あかりのデザインや雰囲気はガラリと変わります。ディクラッセでは照明に付属する電球も、かなりこだわりを持って選んでいます。
ひとつひとつの照明に対し、
この照明のあかりを共にする暮らしは、いったいどのようなものなのか
この照明には、どのような大きさ・明るさ・色味の電球が合うか
ディクラッセが目指すあかりは、どの電球で再現できるか
商品企画・開発の段階で、徹底的にこの問いかけを行い、複数の候補の中から絞り込んだ電球を、付属電球としてお付けしています。
電球は、ディクラッセが目指す「心地よいあかり」を作るために重要な役割を果たすもの。照明本体だけでなく、電球をつけた時のあかり、そしてシェードが織りなす影をトータルでデザインしているわたしたちにとって、最適な電球を選び出すことは、プロダクトデザイン活動の一環と思っています。
「影を魅せる」ための電球
例を上げていこうと思います。
オーランド ペンダントランプ(Orland pendant lamp)、オーランド テーブルランプ(Orland table lamp)。
葉に包まれた鳥の巣のようなシェードをまとった、ユニークなアイテムです。
あかりをつけると、葉の影が壁や床に映り、森の木漏れ日の中にいるような気分を味わうことができます。
葉をモチーフにした、ミニフォレスティ(Mini-foresti pendant lamp)。
あえて電球の側面と下側を葉のモチーフで覆うことで、点灯した時の葉の影が、木漏れ日のように感じられるようにデザインしました。
また、スプーンとフォークのモチーフをシェードにあしらった、ジータス(Gitas pendant lamp)。
点灯した時の影もスプーンとフォークの形に。映画の世界のような楽しい雰囲気を演出できます。
ディクラッセでは、このような「影を魅せる」ことをテーマにしたプロダクトを複数展開しています。これらの共通項として、クリア電球を採用していることがあげられます。きらめくクリア電球の光は、モチーフの影をより魅力的に映し出せるからです。
オーランドやフォレスティ、ジータスは、点灯した時に壁や床に映る影をデザインした照明。その影を魅せるには、クリア球の光がベストだと考えました。
また、多くのフォロワーさんがいらっしゃる、エトワール ペンダントランプ (Etoile pendant lamp)。
これも、クリア球を採用しているアイテムのひとつ。点灯したときに、壁に映るシェードの影を美しく見せたい。それに加え、透明なシェードから見える電球自体の美しさも見せたい、というコンセプトです。
「デザイン」のための電球
次にご紹介したいのが、電球そのものを照明デザインの一部にした照明について。ディクラッセには、あえて電球が見えるようにデザインしたプロダクトも多くあります。
代表的なものが、シェナーリオW(Scenario W pendant lamp)。
シャープなスチールのフレームの中に、小さめの愛らしい電球が4つ並んだペンダントランプです。
シェナーリオWは、4つの電球がどの角度からも見えるデザインなので、電球自体のデザインにもこだわり、丸いシルエットと内部のフィラメントが美しいクリアなボール球を選びました。
ワット数はあえて低めにすることで、目線の位置に光源があっても眩しくない設計にしています。
縦長の、額縁のようなスチールフレームに、電球を1つつけたタイプのシェナーリオ S(Scenario S pendant lamp)は、電球も涙型の縦長シルエットに。フィラメントが目立つクリアなレトロ球を使用することで、1灯でも存在感のある照明に仕上げています。
1灯タイプ(4灯タイプも展開しています)のシガロ(Sigaro pendant lamp)。
スマートなシリンダータイプのボディとのバランスを考え、小さめでコロッと丸いボール球を採用しました。ふんわりとニュアンスのあるあかりになるように、クリアではなくあえてホワイトの電球を選んでいます。
ここまでご紹介したのは白熱電球(または、白熱電球タイプのLED電球)を使った照明です。
一方で、ディクラッセのラインナップにはLEDのモジュールを使用したアイテムもあります。
代表的なものが、LEDエポカ(LED Epoca pendant lamp)です。
LEDエポカは、金属でできた三角錐のコンパクトなシェードが特徴的。点灯すると光が金属のシェードに反射し、優しく輝きます。
LEDモジュールを採用したことで、シェードを小ぶりなデザインにして、ダイニングなどで、多灯付けしやすいサイズに仕上げることができました。
また、LED光源は、自然光に近い温かみのある色を選び、全体のイメージをレトロで味わいのあるデザインに仕上げています。
「機能」のための電球
ディクラッセの照明は、明るさではなく心地よさを重視していますが、中には機能性にこだわり、デザインと明るさの両立をめざした照明もあります。
代表的なものが、海外でも人気のアルル デスクランプ(Arles desk lamp)。
アルル地方の女性の帽子をイメージして作られた、クラシカルなデスクランプです。
デスクランプは、仕事や作業で使用することが多いアイテム。仕事や作業の照明に明るさは重要ですよね。そこで、このアルル デスクランプにはレフ球を採用しました。
レフ球は、狭い照射範囲に対し、実際の明るさよりも明るく感じられる光を放つという特徴があります。つまり、作業の手元は明るく照らす一方で、周りを明るくしすぎることはありません。スポットライトのように、ピンポイントを明るく照らすことができるのです。
レフ球を採用することで、心地よいあかりのデザインを保ちながら明るさも確保することが可能になり、わたしたちが求めるデザイン性を満たしつつ、機能性にも優れた、アルル デスクランプが誕生したのです。
ご紹介したように、ディクラッセの照明は、電球とその光も含め、完成形としてリリースしています。くつろぎの空間をつくるため、また部屋に馴染むデザイン性の高い照明をお使いいただくために、電球にもこだわりを持っています。
電球にもこだわって、照明選びをより楽しく
電球を変えると、照明への理解が深まり、照明選びはより楽しいものになります。これから照明選びをする方は、ぜひ、電球にも着目してみてください。
日々の暮らしの趣も変わってくると思います。
デザイナー 遠藤 道明