Made in Japan
新商品のデザインは私の分身のようなものです。かならず自分で写真を撮り、商品と向き合います。
ジェンマ ペンダントランプの原点は、私が描いた一枚のシャンデリアの絵です。chanter 061 というアートパネルで現在も販売をしている商品です。絵を描いたバブル全盛期、シャンデリアを買うお金のなかった私は、憧れのシャンデリアの絵を描いて、思いをカタチにするしかありませんでした。その反面、バブルの恩恵を受けていない多くの人々に向けて、私の欲しいものを作れば売れるのではないか、という信念をこめてデザインしました。
シャンデリアの絵だけを販売してよいのか。そう自問自答しながら金属加工品メーカーの視点でシャンデリア作る事。そこからジェンマをデザインしたものです。一枚の絵から、必要でない線をひとつひとつ削ぎ落とし、やっとファーストロットが完成、しかし線が太すぎて無骨すぎました。そこからさらに1ミリ単位で調整して今の形に至っています。
このシェードは、25年前から現在に至るまで東京のシェード屋さんで作り続けてもらっています。職人気質の社長さんに図面を見せた当時、「これは面倒だなぁ〜笑」と言われながらも、私は頭を下げて頼み込みなんとか発売にこぎつけたことを覚えています。すぐに売り切れて追加製作する際は、私がふたたび頭を下げ作っていただくという繰り返しでした。昔はディクラッセも大まかな計画で動いていたので、人手不足だけど人を雇えない私が夜も現場に走ったものです。
ある時「中国製に切替えた方が仕入れも安くなる」という気持ちが頭をよぎりましたが、踏みとどまりました。日本製が無くなっては困る、金属加工工場を営む父親の背中を見て私が学んだ事は、一生懸命働く事。メイドインジャパンの行く先には危機感をずっと感じていたので、私はあえて日本の工場にお願いしています。
シャンデリアのフレームを自分の部屋に入れる。ガラスのシャンデリアは買えないけれど、でも私らしくあれ!というメッセージ。そんな私の日常から生まれたランプです。
日本のシャンデリアをデザインすることで、煌びやかなひかりと日常のひかりがある事に気づかされました。バブルの華やかさよりも、日常に本当の幸せがあるという事を再発見してほしい。それがジェンマのデザイン照明としてのコンセプトです。
ジェンマは3〜4個を吊るすことで、さらに自分の部屋の数々の日常を演出してくれる。そんなランプです。
デザイナー 遠藤道明