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2021-06-11

暮らしの中に影を配置する

ディクラッセのものづくりには、「光と影」というキーワードを欠かすことができません。これは「明るさ」の追求とはまったく別のベクトルです。

わたしたちは、この「明」と対極にある「暗」の存在を大切にしています。

あかりは、自らが光源となることで、周囲に心地よい陰影をつくりだします。たとえば、葉っぱのかたちをシェードにあしらうことで、その影が壁などに映し出され、木漏れ日のような光がうみだされます。すると、木陰でくつろいでいるような気持ちになり、心地よさを感じることができます。

このような視点で、わたしたちは自然と陰影にフォーカスしたものづくりをはじめました。これが、ディクラッセのシリーズのひとつでもある、Nature(ネイチャー)のはじまりです。

自然の光を暮らしに取り入れること
影をデザインすること
本能的な心地よさを感じること

このテーマを徹底的に考え抜いて具現化した商品、それがNatureシリーズのマスターピースでもある、フォレスティです。

フォレスティ


Narure(ネイチャー)ということばを調べていたら、

人間と、人間の手の加わったものを除いた、この世のあらゆるもの。
人間の手の加わらない、そのもの本来のありのままの状態。

ということばにたどりつきました。

朝陽、木漏れ日、夕焼け、炎の灯り、月明かり。自然の光を見ると、脳が強烈にゆさぶられる感覚になります。それはもしかすると、子どもの頃に旅先でみた懐かしい風景がよみがえり、感傷的な気持ちになるからなのかもしれません。でも、わたしたちの脳裏に刻まれた記憶だけが、そうさせているわけではないはずです。

太古の昔、20万年くらい前から、ヒトは太陽の光で目覚め、日の恩恵を浴びて生活し、夕日を見て語らい、焚き火の炎を見て眠りにつくというサイクルで行動していました。それは誰かが決めたからそうしているわけではありません。おのずと備わったヒトの本能によるものなのです。いわば、先人から受け継がれた「ネイチャー」とともに、古来から受け継がれたヒトの感覚が、わたしたちの脳をゆさぶっているのです。

フォレスティも、使ってくださるみなさまの本能をゆさぶることができればいいな、と願っています。

癒しの光は、本来は自然界にあるものです。

「暗さ」「陰影」の意義を、自然界におけるヒトの暮らしに照らし合わせ、ものづくりの場で「自然」を再現することで、本来のヒトが持つポテンシャルを生かし、人間らしい生活をしていただきたい、そんな気持ちでものづくりを続けています。

 

デザイナー 遠藤道明

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